ENTERTAINMENT

【ゲイ映画】ゲイ・LGBT・BL・同性愛がテーマの映画50選まとめ(2010年以降)

Contents

ムーンライト(2016年・アメリカ)

ムーンライトは2016年にアメリカで公開された映画で、さまざまな映画祭や映画賞で高評価を得ている作品です。マイアミの貧困地域で麻薬を常習している母親と暮らす少年シャロンの話になっています。

作品賞に相応しいクオリティーで、ストリートの現実から同性愛の葛藤というテーマに話がシフトしていくのも見どころです。ストリートで生きる幸薄い少年の成長という部分は分かりすく、どんどん迎える新しい局面がアップテンポに仕立てます。

少し甘酸っぱいセンチメンタルなラブストーリーで、いじめ・薬物・差別・ゲイなど普段あまり関わりがない人でも思わず感情移入する内容になっています。

怒り(2016年・日本)

怒りは、2016年に日本で公開された千葉・東京・沖縄を舞台に3つのストーリーが展開される群像劇となっています。東宝のメジャー作品の1つで、全国228館という邦画災害規模で公開されました。

ゲイに関する映画はこれまでにもありましたが、ゲイのキャラクターが社会的に認められていないことやカミングアウトできないことなどがベースになっていました。しかし、怒りはすでにゲイであることへの悩みを乗り越えた時点から物語が始まっています。

ゲイを社会の片隅ではなく、自分たちの物語といて描くことに成功しています。怒りが与えた社会的影響は大きくLGBTをテーマにした映画の一歩先を進んでいるような作品です。

君の名前で僕を読んで(2017年・イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作)

君の名前で僕を読んでは、2017年に公開されたイタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作の恋愛ドラマ映画です。アンドレ・アシマンが2007年に上梓した小説を原作にしています。

1983年の北イタリアが舞台になっていて、大学教授の父親の助手として招待された24歳の大学院生に思いを寄せる17歳の少年との一夏の恋愛を描いています。美しいイタリアの村で家族と過ごす少年の甘く苦い作品です。

また、君の名前で僕を読んでの前年に公開されたLGBT映画のムーンライトと対比されることも多く、ムーンライトがダークな内容であるのに対し、本作はライトな内容となっています。

劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD(2019年・日本)

劇場版おっさんずラブ LOVE or DEADは、2019年に日本で公開されたヒューマンドラマです。2018年に流行語大賞にノミネートされるなど社会現象を巻き起こしたBLドラマ「おっさんずラブ」を映画化したものです。

本作はドラマ最終話のアフターストーリーが描かれており、ドラマでお馴染みのレギュラー陣が続投して監督を務めたのはドラマで演出を手掛けた瑠東東一郎氏になります。

俳優陣の演技が素晴らしく、ドラマ版とは違った雰囲気が楽しめます。ドラマを知っておいた方がストーリーは頭に入ってきやすいので、おっさんずラブを見たことがない人は先にドラマを見てから映画を見るのがおすすめです。

ボヘミアンラプソディ(2018年・アメリカ)

ボヘミアン・ラプソディは2018年に公開された大人気映画で、伝説のチャンピオンやウィ・ウィル・ロック・ユーなどの名曲で知られるフレディ・マーキュリーの伝記ドラマです。華々しい軌跡の裏側にスポットを当てており、全世界で話題になった映画です。

物語の舞台は1970年代のロンドンで、ルックスや複雑な生い立ちに劣等感を持つフレディ・マーキュリーが一気にスターになるまでの流れが詳細に描かれています。

ゲイがテーマになっている映画ではありませんが、主人公のフレディ・マーキュリーがゲイであったことからゲイ映画関連のランキングでも上位を記録しています。何度見てもまた見返したくなるような不思議な映画です。

サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所(2019年・アメリカ)

サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所は、2019年に公開されたアメリカの映画です。LGBTの人々のための支援プログラムとして行われるサタデーナイト・チャーチを題材に学校でのいじめや家族の無理解などの厳しい現実に悩む人の出来事を描いています。

ゲイ・ムーブメントが必然的に流行を生むことにも触れており、作中に出てくる6つのミュージカル・シーケンスはユリシーズの現実回避の手段として描かれています。ミュージカル仕立てになっているので映画自体もかなり親しみやすくなっています。

一切の無駄がなく、アップテンポに話が進んでいくのでLGBT系の映画の中ではかなり見やすいです。

ダンサー そして私たちは踊った(2020年・スウェーデン)

ダンサー そして私たちは踊ったは、スウェーデンで公開されたヒューマンドラマです。ジョージアの国立舞踏団が舞台となっており、若きダンサーたちが織りなすドラマとなっています。第92回アカデミー賞国際長編映画に選出されています。

とても緊張感がある物語となっていて、最後までドキドキする内容です。主役の青年は写真で見るよりも男性らしく、彼と愛し合っている彼は写真よりも若々しいです。ダンサーならではの鍛えられた体躯や素晴らしいダンスも見どころとなっています。

ゲイではなくホモとした字幕も閉鎖的な社会を描く本編において適切と言えます。再会した主人公たちの気持ちの変化も見どころの一つです。

性の劇薬(2020年・日本)

性の劇薬は水田ゆき氏のBL漫画を実写化した映画で2020年に日本で公開されました。人生につまずいて自暴自棄になったエリート会社員の桂木は酔って飛び降り自殺をしようとしますが、そこに余田という男が現れて自分に命をよこせと迫ります。

桂木の命は救われましたが、その後に監禁・調教される生活がスタートします。ただ単にBLシーンを見るだけでなく、切ないシーンや考えさせられるシーンもたくさんあって見どころ満載です。

原作と映画では若干異なっている部分もありますが、原作ファンからも高い評価を得ている作品です。主役の熱演も光るものがあり、思わず感情移入してしまいます。映画には映画の良さがあると実感する作品です。

his(2020年・日本)

Hisは2020年に日本で公開された映画で、愛がなんだの今泉力哉が監督を務め、同性カップルが周囲の理解を得るために奔走する姿を描いたヒューマンドラマです。LGBTQが直面している社会の偏見や法的な問題が取り込まれていて、ドラマ偽装不倫の宮沢氷魚やアイネクライネナハトムジークの藤原季節などが主演しています。

最初のうちは主人公2人の性格や関係にいら立ちを感じる部分もありますが、少しずつ2人を応援する気持ちに変わっていきます。社会問題も真正面からぶつけられていて、よくできた映画と言えます。

LGBTについて真面目に考えさせられる場面も多く、LGBTQはもちろんそれ以外の人でも楽しめます。俳優陣の演技も素晴らしく、思わず涙があふれ出しそうになります。

ソン・ランの響き(2020年・ベトナム)

ソン・ランの響きは2020年にベトナムで公開されたヒューマンドラマです。1980年代のサイゴンが舞台となっている本作は、孤独な2人の男性が惹かれ合っていく3日間の刹那な物語をベトナムの民族楽器ソン・ランの音色に合わせて描いたドラマです。

最初のうちは反発し合っていた2人ですが、リン・フンがユンの家に泊まることになって心を通じ合わせていきます。対照的な性格の2人ですが、孤独を埋め合うように結ばれていきます。

2人の醸し出す雰囲気が素晴らしく、観終わっても心に余韻を残します。心に足跡を残してくれるような映画で、2回目見ると違った視点で楽しめて面白いです。

トム・オブ・フィンランド(2017年・フィンランド)

トム・オブ・フィンランドは、2017年にフィンランドで公開された伝記ドラマです。フィンランドに暮らす主人公の描いた絵が世界で認められる過程が描かれており、監督をトールキン旅のはじまりのドメ・カルコスキが務めています。

個展のために渡ったアメリカでのキラキラした日々や大切な人を失う悲しさ、同性愛排除など見るポイントが多い作品です。共通して言えるのは、ストレートでもゲイでもみんな愛を求めているというのが伝わる作品です。

ロケットマン(2019年・フランス)

ロケットマンは2019年にフランスで公開された伝記ドラマで、主演を務めているのはキングスマンシリーズで知られるタロン・エジャトンです。ミュージカル調になっていて、演出が絵画的でとても美しいです。

LGBT、薬物アルコール、幼少期からの家族との確執など抱える問題が多く、スムーズに感情移入ができて映画に入り込める内容となっています。貧欲な好奇心と二つの感性が豊かな才能を生み出すことが分かります。

永遠に僕のもの(2018年・スペイン・アルゼンチン合作)

永遠に僕のものは2018年にスペイン・アルゼンチンで合作されたクライム映画で、美しい容姿からブラック・エンジェルや死の天使と呼ばれたアルゼンチンの犯罪史に残る連続殺人犯がモデルの作品です。

11人を殺害した情けのかけようがない殺人鬼でありながらも、女性のような顔立ちをした主人公の存在が異彩を放っています。きれいな顔をしてやることが無慈悲な見た目と心のギャップがインパクトを与えており、シリアルキラーな内容となっています。

花は咲くか(2017年・日本)

花は咲くかは2017年に公開された日本のBLコミックを映画化したもので、広告代理店に務めている男性と美大に通う大学生が戸惑いつつも惹かれ合っていく様子を追っていくストーリです。

監督を務めたのは「あかり」の谷本佳織氏で、年上の男性に思いを寄せる大学生を演じたのは動物戦隊ジュウオウジャーで人気を集めた渡邊剣氏です。人気俳優ですが、俳優生活で初めてキスシーンを披露している作品でもあります。

LGBTの恋愛は現実だと偏見の対象になる場合も多いですが、この作品を見ると人が人を好きになる瞬間は誰であっても素敵だと感じます。性の多様性の素晴らしさも実感できる作品となっています。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年・アメリカ)

この映画は2014年にアメリカで公開された歴史ドラマで、アンドリュー・ホッジスによる伝記をもとにグレアム・ムーアが脚本を執筆しました。物語の舞台は第二次世界大戦中のアメリカで、天才数学者と称されるチューリングが中心となっています。

傲慢で不器用な主人公は他のメンバーとの協力を拒否して、チーム内でもどんどん孤立している中で彼の理解者が現れます。

この作品はシンプルに言うと、恋も功績も知識も失ってしまった戦争の裏の英雄の実話です。作品中には彼のさまざまな苦悩が出てきますが、今の自分たちには非現実的なことばかりで、とても考えさせられる映画です。

Love, サイモン 17歳の告白(2018年・アメリカ)

Love, サイモン 17歳の告白は、2018年に公開された青春ドラマです。キングス・オブ・サマーで一躍有名になったニック・ロビンソンが主演しています。

ゲイであることを隠している高校生が悩みながらも成長していく物語で、原作はベッキー・アルバータリのサイモンVS人間平等化計画で監督を務めたのは「かぞくはじめました」のクレッグ・バーランディです。

高校生のサイモンはゲイであることをカミングアウトするかどうか迷っていましたが、同じ学校の匿名のゲイの正体を突き止めることの推理劇や恋の行方などが見どころとなっています。主演のニック・ロビンソンがLGBTを繊細に演じており感情移入してしまうシーンも多くあります。

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年・イギリス)

ゴッズ・オウン・カントリーは、2017年にイギリスで公開された映画でヨークシャーが舞台となっています。ベルリン国際映画祭や世界各地の映画祭で高い評価を得てラブストーリーで日本でも話題になりました。

孤独な労働の日々をお酒といきずりの性行為で紛らわす主人公のもとに、ルーマニア移民の季節労働者ゲオルデが羊の出産シーズンを手伝いにやってきます。最初のうちは衝突したばっかりの2人でしたが、次第に恋心を抱き始めます。

全体的にゲイ映画という雰囲気が全面に出ていますが、どのようにお互いがゲイに気付くのかなど想像が膨らむ内容になっています。ゲイカップルの淡い恋心も上手に表現されています。

彼の見つめる先に(2014年・ブラジル)

彼の見つめる先には、2014年にブラジルで公開された長編の青春ドラマです。主演を務めているのは、舞台やテレビシリーズなどに出演してきたジュレルメ・ロボやファビオ・アウディなどです。

物語は目の不自由な高校生レオを主体に進んでいき、過保護気味の両親ややさしい祖母、長馴染みなどに愛されていた主人公がクラスに転向してきたガブリエルと出会ってから話が展開していきます。

最初は女性と男性の恋愛を描くような雰囲気も見受けられますが、男性同士の愛を描いています。青春特有の反抗期や難しさ、もどかしさなどが表現されており、意外な展開に引き込まれます。青春ドラマということもあってフレッシュさがあります。

BPM ビート・パー・ミニット(2017年・フランス)

BPM ビート・パー・ミニットは、2017年にフランスで公開されたヒューマンドラマです。「パリ20区、僕たちのクラス」で脚本や編集を手掛けたロバン・カンピヨ監督の体験が元になっています。

物語の舞台は1990年代初頭のフランスで、新薬の研究成果を隠す製薬会社を襲撃したり、ゲイのパレードに参加したりもする「Act Up-Paris」という団体に命を懸けている主人公や仲間の人間関係を描いています。

ドラマでありながらドキュメンタリーのようにも感じられ、生き生きと活動してきたショーンがやせ細っている姿にも胸を打たれます。一方、当時のフランスにおけるエイズ流行や同性愛者などについては生々しく描かれています。

ハートストーン(2016年・アイスランド・デンマーク合作)

ハートストーンは、2016年にアイスランド・デンマークで合作されたラブストーリーです。長編初監督作となるグズムンドゥル・アルナル・グズムンドソンが、自分自身の少年時代の思い出をベースに作っている作品となっています。

東アイスランドの漁村に暮らすソールとクリスティアンの幼馴染の親友を軸に物語が進んでいきます。少年少女たちの生き様を美しく淡々と描いており、豊かな情景描写となっています。

物語の舞台となっているアイスランドは自然がとても美しく、物語の内容も相まって美しい映画の1つと言えます。また、ラストシーンに込められている監督のメッセージからも目が離せません。

美女と野獣(2017・アメリカ)

美女と野獣は、ディズニーが制作した大ヒットアニメを実写化したもので、2017年にアメリカで公開されました。美しい心をもった女性ベルと野獣の恋の行方を見つめる内容で、監督を務めたのはトワイライトやドリームガールズのビル・コンドンです。

進歩的な考え方が原因で閉鎖的な村人となじめないことに悩むベルが野獣と遭遇し、野獣の恐ろしい外見に戸惑いながらも次第に心奪われていく様子を描いています。

LGBTが題材になっている映画ではありませんが、登場キャラクターがLGBTをカミングアウトするなど、これまでのディズニー映画と一線を画したことで話題になりました。多くのファンがいる人気映画の一つです。

恋人たち(2015・日本)

恋人たちは2015年に公開された日本のドラマ映画で、樋口亮輔氏が監督・脚本を務めています。それぞれに異なる事情を持つ3人の男女の物語をつづっており、妻を通り魔に殺害された夫を中心にストーリーが展開しています。

冒頭から登場人物たちの生活空間へと引き込まれ、3人が社会の理不尽を全身で被っていてのたうち回る姿が現れています。ゲイと異性愛者の純愛を無残にも遮断するような強い偏見もリアルに描かれています。

役者陣の圧倒的な演技が見どころとなっており、素晴らしい演出と完璧な演技力が融合した傑作品です。ストーリーや展開も面白く、最後まで考えさせられる作品となっています。

セブンデイズ MONDAY→THURSDAY(2015・日本)

セブンデイズは、2015年に公開されたボーイズラブコミックを実写化した映画です。監督を務めたのは「たくみくん」シリーズでお馴染みの横井健司監督で、一週間限定の恋人として付き合い始めた男子高校生2人の月曜から木曜までを映しています。

禁断の関係と知りながらも、少しずつ二人の距離が縮まっていく感じに胸が高鳴ります。恋人を演じたのは、廣瀬智紀氏と山田ジェームス武氏で、どちらもイケメン俳優ということもあり美しい映画に仕上がっています。

時系列とともに描かれる二人の関係に変化が訪れるのが楽しめて、見ている方もときめきます。アニメの実写化は失敗が多いと言われますが、この実写化はありです。

ダブルミンツ(2017・日本)

ダブルミンツは2017年に日本で公開されたBLドラマで、同級生などで知られる中村明日美子のコミックを実写化しています。監督を務めているのは下衆の愛の内田栄治で、シマウマの須賀健太やベテランの小木茂光が主演を務めています。

高校時代に主従関係にあった2人の男性が再会して犯罪と暴力が渦巻く世界に引き込まれるストーリーです。また、2人の関係も少しずつ変化して同性愛に目覚めていきます。

不気味や気味悪さなどを超える愛で、偏った愛も貫いたら純愛になるのが体現されています。過激なシーンもありますが、それぞれのシーンで作者が伝えたいことがダイレクトに入ってきます。

どうしても触れたくない(2014・日本)

どうしても触れたくないは、2014年に日本で公開されたボーイズラブコミックが原作の実写映画です。お互いに心に傷を持っている同志が違うタイプの男性が最悪の出会いをするところから始まりますが、その後は不器用に恋愛に落ちていく姿を描いています。

監督を務めているのは「フィガロの告白」の天野千尋で、イケメン俳優たちが体当たりで演じています。揺れ動いている心に魅了され、原作の世界観がしっかり体現されていると評判です。

儚げな雰囲気のまま物語が進んでいき、暖かい気持ちで見終えることができる作品です。BL作品の中でも特に人気が高く、泣けるシーンもたくさんあります。

ひだまりが聴こえる(2017・日本)

ひだまりが聴こえるは、2017年に日本で公開されたBLコミックの実写版映画です。原作は2015年に本作品でデビューした「文乃ゆき」のひだまりが聴こえるで、難聴に悩む大学生の主人公と同級生太一の友情を描いています。

さわやかさと切なさがいい具合にミックスされた作品で、BL作品であるもののBLっぽくない雰囲気もあります。原作人気によって実写化された流れですが、映像がきれいで音楽も内容にマッチしています。

俳優陣が爽やかでイケメンということもあり、美しいという言葉がぴったりの映画で、二人のお互いを思いやる気持ちに涙が止まりません。大切な人と一緒に見たい作品です。

パレードへようこそ(2014年・イギリス)

パレードへようこそは、2014年にイギリスで公開されたコメディ・ドラマです。監督を務めているのは第63回トニー賞において監督賞を受賞したマシュー・ウォーチャスです。

ブロムリー区出身でゲイということを隠しているジョー・クーパーは20歳の誕生日にプライドパレードを見に行き、パレードに参加するところから物語が始まります。炭鉱労働者のストライキの報道を見たマークが彼らを救済するために仲間と一緒に募金活動を行うためにロンドンからウェールズに向かいます。

見返りを求めずに支援を一生懸命なゲイたちの行動が大きく変えていく様子が清々しく、心の結びつきや尊さ、美しさが力強く描かれています。

リリーのすべて(2015年・イギリス)

リリーのすべては、2015年にイギリスで公開された伝記ドラマです。世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人画家リリーエルベと妻のゲルダの愛を描いた作品になっています。監督を務めたのは第83回アカデミー賞の4部門で受賞した英国王のスピーチのトム・フーバーです。

物語の舞台は1926年のデンマークで、風景画家のアイナー・ヴェイナーは同じく画家の妻ゲルダに女性モデルの代役を依頼されます。そのときに自分自身の内面の女性の存在を感じ、リリーという女性として生活します。

切ないながらも素敵で胸にジンとくる内容です。LGBTの葛藤が分かりやすく描かれていて映像にもこだわっているのが伝わってきます。

彼らが本気で編むときは、(2017年・日本)

彼らが本気で編むときは、2017年に日本で公開されたヒューマンドラマです。母親が家を出てしまい、置き去りにされてしまった11歳のトモがおじを訪ねると、おじは恋人の男性と一緒に生活しており、トランスジェンダーの恋人のリンコがトモに料理を振る舞います。

感情が不安定になりやすい年ごろですが、母以上の愛情を注いでくれるリンコに対して困惑していたものの次第に心を開いていきます。理不尽な悲しみに苦しみながらも他人への愛を忘れないリンコのひたむきな姿に感動です。

とても深くて濃い内容の映画で、1つの映画を通して楽しみや悲しみなど、さまざまな感情が沸き上がってきます。

ストーン・ウォール(2015年・アメリカ)

ストーン・ウォールは、2015年に公開されたアメリカのヒューマンドラマです。物語の舞台は1960年のニューヨークで、若者たちの愛の反乱の感動作となっています。監督を務めているのは、ローランド・エミリッヒです。

ゲイであることが発覚して誰かに追われるかのように故郷を出ていった孤独なダニー。そんな彼を受け入れたのがゲイのギャングを率いるレイで、さまざまなゲイやレズビアンと身を寄せ合って生きていきました。

当時はLGBTに対する偏見や差別がひどかった時代ですが、警察に反抗することなく大人しく報いを向けていたことに抗っていきます。内容が面白いのはもちろんですが、LGBTの歴史を垣間見ることができます。

タンジェリン(2015年・アメリカ)

タンジェリンは、2015年にアメリカで公開されたコメディードラマです。3台のiPhoneにワイド撮影ができるレンズを装着し、ロサンゼルスを舞台にトランスジェンダーの日常をユーモラスに描いています。

iPhoneで撮影したとは思えない画質で、手ブレもなく1日のことを描いているのは画期的です。クリスマスイブのLAのストリート路上で引き起こす騒動を描いており、パワフルさやマシンガントークがかなり強引で面白く作られています。

また出だしからテンポがよく、ドタバタのコメディとなっています。マイノリティの人たちの日常を描きながらも軽い感じになっていて、なおかつLGBTの知らなかった現状が知れます。

アバウト・レイ 16歳の決断(2015年・アメリカ)

アバウト・レイ 16歳の決断は、2015年にアメリカで公開されたヒューマンドラマです。監督を務めたのはゲイビー・デラル、主演はエル・ファニングが務めています。2015年に9月に開催されたトロント国際映画際でAbout Rayのタイトルで上映されました。

映画はラモーナと名付けられた16歳の少年レイと彼の母マギー、母ドリー。同性パートナーフランシスが性別移行に関する説明を受けているところからスタートします。4人は同居していますが、LGBTに対する理解は乏しい状態でした。

非常にデリケートな題材をうまくこなしており、セリフにもキレがあって見やすい作品です。LGBT本人の悩みだけでなく、周囲が抱える悩みや不安なども分かりやすい内容です。

ダイ・ビューティフル(2016年・フィリピン)

ダイ・ビューティフルは2016年にフィリピンで公開されたコメディドラマ映画です。急死したトランスジェンダーの女性トリシャの人生を描いた作品ですが、トリシャはトランスジェンダーへの偏見や差別に抗って誇り高く生きた女性でした。

トリシャは死化粧の遺言を残し、さまざまな死化粧を施して棺に横たわるトリシャのもとに関係があった人々が訪れます。監督を務めたラナ監督はフィリピンでも人気のある映画監督の1人で2012年にはフクロウがアカデミー外国映画賞に選ばれています。

現在と過去が交互に描かれており、凝ったストーリーになっていますが、理解はしやすく面白い内容です。見返してみると面白い作品です。

レディ・ガイ(2016年・アメリカ)

レディ・ガイは、2016年にアメリカで公開されたアクション映画です。性転換手術で男から女にされた殺し屋の物語で、ウォルター・ヒルが監督を務めてミシェル・ロドリゲスが主演を務めています。

凄腕の殺し屋フランク・キッチンがマフィアとの銃撃戦で負傷して、意識を失ったところから物語が始まります。目覚めたフランクはすでに女性の姿となっており、大切なものを奪われたフランクが銃や色気を武器に復讐に立ち上がります。

他のLGBT映画と違って自分の意志に反して性別が変わっているのが特徴です。少し変わった視点のLGBT映画を楽しみたい人におすすめの作品になります。アクション映画ということもあり疾走感も見どころです。

ナチュラルウーマン(2017年・チリ・アメリカ・ドイツ・スペイン合作)

ナチュラルウーマンは2017年にチリ・アメリカ・ドイツ・スペインで合作された映画で、グロリアの青春などのセバスティアン・レリオが監督と脚本を担当しているヒューマンドラマです。

最愛の恋人を亡くして、偏見や差別などに苦しみながらも前向きに誇り高く生きるトランスジェンダーの主人公は、自分自身もトランスジェンダーのダニエラ・ベガが演じています。女優としての優しさと繊細さ、そして男性としての肉体やパワーが絶妙なバランスです。

人間として自由に生きる権利や意志を表現する主人公に元気をもらい、そして現実にある偏見や差別などを知れる映画でもあります。何度も見返したくなる素晴らしい映画です。

愛と法(2018・日本)

愛と法は2018年に日本で公開されたヒューマンドラマで、監督を務めたのは長年にわたってヨーロッパを拠点に活動してきた戸田ヒカルです。大阪で法律事務所を営む弁護士カップルの奮闘を描くドキュメンタリー映画になります。

2人のもとにはLGBTの相談者や居場所を失った子供、無戸籍者など、さまざまな依頼人が訪れます。日本の制度の中で生きにくさを感じながら、自分らしく生きるために戦う人たちを描いています。

ドキュメンタリー映画として日本映画スプラッシュ映画に選出されており、香港国際映画賞では最優秀ドキュメンタリー賞を取っています。LGBTが抱えるさまざまな悩みや問題が分かりやすく表現されています。

トム・アット・ザ・ファーム(2013年・カナダ・フランス合作)

トム・アット・ザ・ファームは、2013年にカナダ・フランスで合作された映画です。日本でも注目されているカナダのグザビエ・ドランがカナダ東部ケベック州の雄大な田園地帯を背景に閉鎖的な家族や地域を舞台に物語が進んでいく心理サスペンスです。

同性の恋人ギョームを失ってしまい、悲しみの中にあるトムは葬儀に出席するために彼の故郷に訪れますが、ギョームの母親は女性の恋人がいることを信じていました。兄のフランシスから母に同性愛でないことを気付かれないように隠すよう強制されます。

LGBTに寛容な社会が広がりつつありますが、地方に目を向けると差別や偏見の目が強いことが分かります。主人公の葛藤や行動、気持ちの変化などが見どころです。

さよなら、ぼくのモンスター(2015年・カナダ)

さよなら、ぼくのモンスターは2015年にカナダで公開された映画です。メイクアップアーティストを目指す高校生のオスカーは、怒りっぽいものの愛情深い父親と暮らしていたところから始まります。

その後、バイト先で知り合ったワイルダーという男性と少しずつ恋に落ちていきます。ハムスターがしゃべるなどファンタジー要素も多少ありますが、心理描写が鋭くサイケデリックな一面も持ちあわせています。

最後まで目が離せない内容となっていて、共感できる部分も多くあります。LGBTというテーマだけに留めておくのはもったいない作品で、生々しい描写が上手く人の心を表現しています。

追憶と、踊りながら(2014年・イギリス)

追憶と踊りながらは、2014年にイギリスで公開されたヒューマンドラマです。ロンドンで暮らす初老の中国人女性とゲイのイギリス人青年の交流を描いています。ホン・カウが監督を務めており、マイノリティであることを軽やかに生きているベン・ウィンショーが出演しています。

リチャードとカイのラブシーンは短いながらも、窮屈な愛が締め付けられます。ただのメロドラマではなく、言葉や世代の違いがあっても気持ちは通じるということが伝わってくる映画です。

言葉では表せない繊細な感情やコミュニケーションの新しい形を見せてくれます。LGBT乗り方について考えさせられる内容です。

チョコレートドーナツ(2012年・アメリカ)

チョコレートドーナツは、2012年にアメリカで公開されたヒューマンドラマです。1970年代のアメリカの実話がベースになっており、母親に見捨てられたダウン症の少年と暮らすために司法や偏見と闘うゲイカップルの姿を描いています。

ゲイであるがゆえの苦悩をテレビドラマ「グッド・ワイフ」シリーズに出ているアラン・カミングアウトや「LOOPER/ルーパー」のギャレット・ディラハントなどが熱演しています。また、メガホンを取っているのは17歳のカルテのトラヴィス・ファインです。

LGBTに対する理解が深まりつつある現在ですが、昔と現在のLGBTに対する周囲の目や差別などの違いも鮮明に出ています。悲しいシーンもありますが、深い愛を感じさせられる作品となっています。

わたしはロランス(2012年・カナダ・フランス合作)

わたしはロランスは、2012年にカナダ・フランスで合作されたヒューマンドラマです。
グザヴィエ・ドランが監督を務めており、当時23歳という若さで本作を発表し、カンヌ国際映画祭の視点部門に出品されたことで当時話題になりました。

カナダのモントリオールで国語の教師をしている男性のロランスと恋人の10年以上に及ぶ物語が描かれています。恋人のフレッドはロランスの告白に戸惑いながらも、周囲の反対を乗り越えて2人の人生を歩もうとします。

ストーリが素晴らしいのはもちろん、音楽センスも素晴らしく見せ方も熟練されています。また主人公の感情も心に伝わり感情移入しやすい作品となっています。

人生はビギナーズ(2010年・アメリカ)

人生はビギナーズは、2010年にアメリカで公開されたヒューマンドラマです。監督を務めているのは「サムサッカー」のマイク・ミルズで、監督自身の父との体験をベースに脚本を書いて映画化されています。

息子のオリヴァーにゲイであることをカミングアウトしたハルは妻に先立たれてしまい、自分自身もガンを患ってしまいます。しかし、75歳にして第二の人生を歩もうとしており、内気な性格から恋ができない息子とは対照的な性格でしたが、父を亡くしたことで運命の人と出会います。

心理描写が面白く、映像や音楽も素晴らしいです。伏線もちりばめられており、2回目見ると違った景色に感じます。

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年・アメリカ)

ダラス・バイヤーズクラブは2013年にアメリカで公開されたヒューマンドラマです。1980年代に無認可だったHIV代替治療薬を密輸販売し、アメリカのHIV患者が特効薬を手にするための奔走したカウボーイを映画化しています。

主人公は電気工でロデオカウボーイのロン・ウッドルーフで、HIV陽性と診断されて30日の余命宣告を受けます。アメリカに認可治療が少ないことを知り、代替薬を見つけるためにメキシコに向かって密輸を試みますが、そこで出会った性同一障害でエイズのレイヨンとともに薬を販売する会社を設立します。

映画の内容が素晴らしいのはもちろん、主役のマシューの減量もすごいと話題になり、役への情熱を感じさせられる作品となっています。

EDEN(2012年・日本)

EDENは、2012年に日本で公開された日本映画です。監督を務めたのは武正晴監督の日本映画で原作は船戸与一の短編小説夏の渦で、2011年7月に亡くなった俳優の原田芳雄が映画化のアイデアを温めてきた作品でもあります。

新宿二丁目にあるショーパブが舞台になっており、ゲイやニューハーフたちの人間模様を温かな視線で描いています。ゲイの表現については誇張されている部分があるものの、内容はしっかりしていて見どころも満載です。

LGBTに対する偏見や差別は昔に比べると少なくなっているものの、それでも小さな世界の中では差別があり、その中でいかに生きていくかを考えらせられる内容です。

あしたのパスタはアルデンテ(2010年・イタリア)

あしたのパスタはアルデンテは2010年に公開されたイタリアのコメディ映画です。イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では助演男優賞や助演女優賞を獲得しています。

日本では2011年8月に公開に先立って、イタリア映画際の上映作品として上映されています。原題は、何をしでかすか分からない危険人物を意味するMine vagantiです。

登場する人物すべてに何らかの悩みがあって秘密を抱えています。どの子にも自分らしく、自分のために生きて欲しいと強く願う祖父の気持ち、そして家族のすばらしさが実感できる映画です。秘密の1つにLGBTが含まれており、コメディ映画でありながら泣けるシーンも多くあります。

お江戸のキャンディー(2019年・日本)

お江戸のキャンディーは女優の広田レオナが監督を務めた映画で、白鳥の湖の初版をベースに舞台を架空の街に置き換えて美しい男たちの愛を描くドラマです。EDOで断トツの人気を誇る男花魁と若衆茶屋の人気ナンバーワン男を中心として恋愛禁止や奇病に翻弄されます。

桃井かおりがナレーションを務めており、カラフルで明るい世界観と男性同士刺激的な愛の物語がベースになっています。どちらかというと見て楽しむ系の映画ですが、ストーリーもしっかり構築されていて面白いです。

プレビュー(新しいタブで開く)

イケメンがたくさん出てくる映画で、BLファンの女性からも高い人気を得ています。衣装や音楽が素敵で、ちくはぐな世界観も見ていて飽きません。

ハイヒールの男(2014年・韓国)

ハイヒールの男は2014年に公開された韓国映画で、屈強な肉体と人間離れした格闘技術を持つユン・ジウクが物語の軸となっています。

ユン・ジウクは女性になりたいという願望を持っている性同一障害者でもあり、ある事件をきっかけに警察を自粛して海外で性転換手術を受けようと決意します。

画面が暗めのノワール映画ですが、最後まで分かりやすくストーリーが展開して見どころがたくさんあります。何といってもジウクの色気がむんむんで映画を引き立てています。また女性になりたいというアクション主人公刑事の心情も分かりやすく演じられています。

宇田川町で待っててよ(2015年・日本)

宇田川町で待っててよはonBlueに掲載され、男子高校生とそのクラスメートの女装男子とボーイスラブを描いたコミックを実写映画にしたものです。渋谷での出会いをきっかけに始まる男性同士の恋愛を映し、主演を務めたのは第23回ジュノン・スーパーボーイ準グランプリを獲得した黒羽氏です。

八代は違う自分を演じて見たかったという理由で女装をしましたが、それがきっかけとなってゲイ同士の恋愛とはちょっと違った展開になっていきます。

主人公の2人がイケメンでハンサムであるため、とても美しい作品に仕上がっています。原作から映画の作りが上手で、思わず笑いそうになったり涙が出たり、いろいろな感情が渦を巻きます。

黄金を抱いて飛べ(2012年・日本)

黄金を抱いて飛べは、2012年に日本で公開された高村薫のサスペンス小説がベースになっている映画です。大阪に本店を置くメガバンクの地下には金塊が眠っており、大阪に住む6人の男たちが金塊を狙って計画を企みます。

監督を務めたのは日本の映画監督として世界的にも有名な井筒和幸氏で、俳優陣も浅野忠信や桐谷健太、東方神起のメンバーであるチャンミン、ベテラン俳優の西田敏行など豪華な面々が演じています。

想像力を掻き立てられる内容で、ただの爽快な強盗の話ではない分、後からじわじわと来るものがあります。何度も見返して物語の展開やそれぞれのキャラクターの行動を整理するのも面白いです。

アタック・ナンバーハーフ・デラックス(2014年・タイ)

アタック・ナンバーハーフは、2014年に公開されたタイのコメディ映画です。オカマのバレー選手が国体を目指す実話をもとにした映画であり、チャイ以外はすべてオカマという異色のチームが予想に反して頭角を現していくストーリーです。

日本では現実的ではないように感じますが、タイはLGBTフレンドリーの国で他の国に比べるとゲイの割合はかなり高く、映画のようなことが起こってもどこか納得できる部分もあります。

この映画の良いところは、日本とタイのLGBTに対する見方が異なっているのが分かる点です。実際に演じているのは生粋のゲイだけではありませんが、違和感なく楽しめる作品となっています。