アメリカのアーカンソー州に住んでいるチャスタティ・パターソンは、19歳のときに父親を亡くしている。彼女は父親の死後も父親の電話番号にメッセージを送っており、父親と繋がっている感覚を得ていた。こんな錯覚が父親を亡くした彼女の心を癒していた。
もちろん、彼女は父親から返信が来ることがないことは分かっている。しかし、父の電話に向けて日頃の生活のことを伝えて、亡き父にシェアして欲しい気持ちで溢れていた。
4年かけてずっと書き続けてきたが、その中には自分がガンになったときの不安、どうやってガンを克服したか、生と死の間をさまようことがどんなに恐ろしいことだったか、などの思いも率直につづっている。
■辛さを乗り越えて
チャスタティ・パターソンは父の死の悲しみを努力に変え、優秀な成績で大学を卒業した。しかし、プライベートでは多くの知人を失ってしまったことや、友人から仲間はずれにされるなど、順風満帆とは言えない状況が続いていた。
日頃の悲しさや辛さも父の携帯にメッセージを送り続けた。返ってくるはずがない返信だが、それでも彼女にとっては心の救いになっていた。
■そして返信が返ってきた
父の4回目の命日の前に、彼女は父に長いメッセージを送った。それから数日した後、父の番号から返信が届いた。返ってくるはずがないメッセージが返ってきたのだ。
このメッセージを送ったのは、父が使っていた電話番号が新たに振り当てられたブラッドというユーザーだ。ブラッドはずっと彼女からのメッセージを読み続け、彼女の成長を見守り続けていた。
実はブラッドも自分の娘を亡くしている。父を亡くして悲しみの中にいるチャスタティ・パターソン、そして娘を亡くして悲しみの中にいるブラッド。この二人のやり取りはSNSで公開されて反響を呼んだ。
チャスタティ・パターソンはこの一件において心が満たされたと言っている。そして、お父さんも天国で安心してくれたであろうとつづっている。