BUSINESS

EU離脱でどうなる?イギリスの金融センターの価値

2016年に国民投票で決まったイギリスのEU離脱。イギリスと言えば世界屈指の金融センターがあるが、EUを離脱した後も生き残れるかどうかが気になるところだ。

銀行は最悪の事態を想定しながら準備を進めており、EUとの取引で得ている自由や利益は多く失われることになる。

しかし、EU離脱によって銀行業務にどれくらいの影響を受けるのか、という部分に関しては、金融機関と監督機関の対話に左右されることになり、政治的交渉によっても大きく変わることが予想される。

■規制の評価

EUはイギリスが提案した規制面での相互承認の計画を拒否している。これが実現すれば、ロンドンに拠点を置きながらグローバルビジネス展開できる銀行が混乱もなく、EU全域でサービス提供を可能になるはずだった。

EUが提案したのは、規制上の同等性である。欧州委員会がイギリス側の規制と監督基準がEUと同じ水準だと認めた場合、受け入れるとしている。イギリスの規制がEUの枠組みから大きく乖離しないように、ブリュッセルの担当者は同等性についての規制の書き直しをしている。

■国を超えての取引

イギリスが新しく欧州拠点を作るために、銀行は500億ドルの追加資金が必要というデータがある。これだけの資金を用意できなければ、単一市場に対するアクセス権を失ってしまうことになるのだ。

ただし、500億ドルを用意する以外の方法もある。銀行が望むように貸す側がバック・トゥー・バックトレードを利用し、EUに拠点を置く事業体からロンドンにビジネスを戻すことをEU規制当局が認めるのなら、コストは大幅に削減できることになる。

■決済拠点はどこになるか?

ユーロ建てのデリバディブの清算はロンドンに多く集中している。街はビジネスで圧倒的に有利になる清算シェアを死守しようと必死だ。しかし、クリアリングハウスはユーロ圏にあるべきだとフランスやドイツは主張している。

ただし、事業がロンドンとユーロに分割された際の高コストを避けるため、EUとイギリスの規制当局がクリアリングハウスの監督で協力を求めるようにしている。EUが最終方針を決定するまで、今後もしばらく時間がかかると見られる。