オンワードは「23区」や「自由区」など、百貨店向けブランドを展開するアパレル大手メーカーだ。事業構造改革の一環とし、国内外の店舗数百店を閉鎖する方針が決まった。アパレル業界を取り巻く環境は刻々と変化しているが、リアル店舗を中心とした事業基盤を見直し、デジタルシフトの流れに対応して成長するのを目的に閉店が決まった。
赤字に転落した背景は
一見すると事業改革というポジティブな要素が強いように感じるかもしれないが、事業成績は良くない。2020年2月には最終赤字に転落する見込みで、リーマンショック直後に業績が悪化した2009年以降以来だ。
赤字に転落したのは、百貨店の集客力低下も大きく影響している。海外事業の不振により、近年の業績は低迷している。リアル店舗の成績低迷はオンワードに限ったことではない。他のアパレルメーカーも成績低迷が深刻さを増しているが、ECサイトの普及が原因として考えられる。
店舗拡大の難しさ
オンワードはデジタル化を推進しており、自社サイト中心主義を掲げている。オンワード・クローゼット経由が占めており、多数のブランドが出店して外部事業者が運営するECモールでは顧客の詳細なデータを集めることができない。
一方、自社サイトは顧客の購買動向を蓄積、分析できるのが強みだ。オンワードも今後はEC分野に尽力するが、オンワードの知名度は意外と高くない。特に若者には認知度が低い。インターネットでファッションアイテムを揃える若者向けに、どれくらい知名度を増やせるかどうかが今後のカギだ。
今後の見通しは不透明
オンワードの経営者は、企画から販売までのステップにおいて、デジタルの活用を急ぐ必要性を強調している。大量閉店による構造改革でオンワードが再成長に向けて歩き出した。しかし、名門アパレルの先行きは苦労を伴うものである。
オンワード大量閉店は現在のアパレル市場を色濃く反映していると言っても過言ではない。新しい時代に柔軟に対応できる会社が生き残っていく会社になるだろう。