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微小重力で3Dバイオプリントの実験!牛の切り身を見事に出力

近年はファストフードチェーン店で、植物由来のハンバーグを採用しているところが増えている。植物由来のハンバーグは動物性の原材料をまったく使用せずに、ニオイや食感、味のどれを取っても肉の味がする。フライパンで焼くと表面は茶色になり、肉汁のような脂が出てくるのが特徴だ。

地球上の人口増加に伴いすべての人に行きわたる家畜を育てるのが難しくなっており、赤味の肉よりも製造に必要な資源が少なく、健康的で安価な代替物として注目されている。この度、地球低軌道を周回している国際宇宙ステーションで、初めて3Dバイオプリンターを使って牛の切り身が出力された。

この技術というのが、3D生体組織プリンターを用いて、牛の筋肉や脂肪細胞を印刷して牛肉を成長させるというものだ。今回使用されたプリンターはイスラエルの企業が開発したもので、牛の筋肉の組織が再生するプロセスを再現するように作られているのが大きな特徴である。

Video: Aleph Farms claim to have produced slaughter-free meat in space

ISSのロシアセクションで行われた実験でも、この特殊な3Dプリンターを使ってビーフステーキを出力するのに成功している。ステーキを形成するのに成功し、重力がほとんどないため、さまざまな方向から組織を印刷できるため、肉としての形成スピードも速くなる。

現在使用されているのは実験機であり、大量生産には対応してないのが難点だ。しかしながら、宇宙空間で牛肉が作れるようになれば、宇宙飛行士が数年単位で宇宙空間を過ごすことになっても食に困ることはないだろう。

また、今回の実験をベースにして、数年後に規模の大きなバイオファームを作り、地上で栽培した肉を宇宙ステーションに送り届けられるよう基地も作られる予定だ。

Photo by NASA on Unsplash

安定した食の供給でのメリットも大きいが、人口で作った肉であれば、少ないエネルギーや水、土地で生産できるため、二酸化炭素の排出を減らすことにもつながる。

食の問題対策だけでなく、地球環境対策としても効果が期待できるため、幅広い分野で注目されている。