「憲法に照らし合わせ重大な人権侵害である」
日弁連が、同性同士の結婚ができないことが人権障害にあたると意見書を提出した内容だ。各種メディアでも報道されたため、目にした人も多いのではないだろうか。
そもそも日弁連というのは、日本全国の弁護士をとりまとめる機関である。日本全国すべての弁護士は日弁連に登録しており、社会的な地位も高い日弁連の意見書であるため、大きく注目された。
意見書の提出に至った経緯
日弁連が同性同士の結婚ができないと意見書を提出したのは、2015年に41都道府県の同性愛者らが日弁連に人権救済を申し立てしたのが背景としてある。意見書の提出に至ったのは2019年のことだが、この4年間ずっと調査が続けられてきた。それだけ、日弁連も気合を入れて対応していたことが分かる。
日弁連の見解
長年かけて調査をしてきたこともあり、同性婚反対の理由に対する日弁連の反論はかなり的を得ている。
「結婚は子どもを産み育てる男女を前提」に対する日弁連の意見は、「子どもを産み育てるかどうかを決めるのは憲法13条の自己決定権やリプロダクティブとして保証されている。」というものだ。
つまり、子どもを産むかどうかは夫婦の自由であり、同性婚ができない理由につながらないというわけだ。
パートナーシップでは不十分
日本にはパートナーシップ制度がある。これに対しても、異性同士の婚姻と内容が同じであっても、そのような分離した制度を設けること自体が間違っているというスタンスだ。
簡単に説明すると、違う名前の法制度を作るのであれば、そもそも婚姻として認めればいいのではないか?という趣旨だ。また、パートナーシップ制度を作っていても、同性婚を認める海外の事例なども挙げている。
意見書が提出されただけでも、同性婚に向けた大きな進歩と言えるだろう。見えないところでLGBTが住みやすい街を作ろうと努力している人もたくさんいる。こうした取り組みに対して自分なりの意見を持つことも大切だ。