近年はLGBTQを取り扱ったドラマや映画が日本でも話題になっているが、LGBTQに関する映画はこれまでに世界で多く作られてきた。セクシュアリティに関するテーマは、ロマンスだけでなく、苦悩や痛みを伴う場合が多く、映画を通して考えさせられることは非常に多い。
そこで今回は、歴代の考えさせられるゲイ映画を3本紹介していく。
マイ・ビューティフル・ランドレット
スティーブン・フリアーズ監督によるゲイ映画だ。商売上手なパキスタン人を中心に描かれる本作は、LGBTQだけでなく、人種差別やサッチャー政権時代のロンドンの社会問題からも正面から向き合っている。
テーマそのものは重たいが、内容はカジュアルで階級や性別の枠の中でどのように生きていくのか課題を与えてくれる。1985年の作品だが、今も根強い人気がある。
ブエノスアイレス
1997年に公開されたウォン・カーウァイ監督による香港の中国返還に関する作品だ。アルゼンチンを放浪するゲイのカップルが主人公で、互いに傷つけあいながらも共に生きていく依存性の強いストーリーがグッとくる。
当時の中国映画としては、ゲイをメインに取り扱っている映画は画期的だったが、救いようのない関係や後悔は多くのゲイに共感された。
ブロークバック・マウンテン
2005年に公開されたアン・リー監督による同性婚をテーマとした映画だ。2005年にオスカーで8部門にノミネートされるなど、当時非常に話題になった映画として有名である。「君を諦めることができればいいのに」というセリフが象徴的だ。
感動的なストーリーで当事者ではない人の涙も誘った。10年以上経過した今でも作品の素晴らしさは色あせず、ゲイ映画の中では常にトップクラスの人気を誇っている。当時のLGBTQに対する理解と現代のLGBTQに対する理解を比較しながら見るのも良いだろう。
ゲイ映画は非常に密度の濃い人間関係が描かれることが多く、繊細で悲しい内容も多い。時代の移り変わりと共に、ハッピーなゲイ映画が増えることを願う。