中国の人口が14億人を突破した。中国の男女比率は1.2に迫っており、次の10年で年金受給者が激増し、個人積立が大量に使い込まれている現状がある。中国の公的年金の積立金は2035年に枯渇すると言われており、日本以上に年金問題が深刻化している。
中国財務省のデータによれば、16年には年金費用が11.6%増しの2兆5800億元に膨らんでおり、政府による不足金の補てんも4291億円に上っている。中国の年金制度は1990年の最初のうちに立ちあがったが、働く現役世代が払い込んだ保険料を年金受給世帯に充てる方式を取っていた。
しかし、退職者はどんどん増加しているのに対し、労働人口は減少の一途になっている。保険料の受け入れ額と年金支給の差は拡大しているが、中国社会科学院傘下の財政戦略研究院によれば、不足額は6000億元、20年には8900億元になると言われている。
■進む高齢化
日本が抱える問題の一つに高齢化があるが、高齢化が急速に進んでいる現状がある。国務院は30年までに60歳以上の割合が10年の国勢調査の13.3%から増え、人口の4分の1を占めるまでになっている。
一人っ子政策を廃止しても、高い生活費が家族の増加を阻み、出生率は上昇してない現状がある。一方で、年金受給者の割合が増加することによって、高齢無職世帯の消費支出が拡大して、個人消費も増えるプラスの効果もある。
■2035年問題
中国政府は景気下支えの一環として、2019年5月以降に企業の年金保険料の負担割合を19%から16%まで引き下げても良いとしているが、16%に引き下げてしまった場合、中国の年金積立は2035年に底を尽くという試算が出ている。
2035年以降、受給額を一定水準で維持するためには、財政投入の拡大、受給開始年齢を引き上げる、現役人口の減少や平均余命の伸びに応じた支給の調整などの検討も必要になってくるだろう。
年金問題と聞くと日本の問題と捉える人も多いが、世界に目を向けると中国のように年金が深刻な問題になっている国は多い。年金制度の見直しの必要性が高まっている。