「Asian4Asian That’s not Racist」というビルボード広告がロサンゼルスのコリアタウンに掲げられたのは2017年のことだった。「アジア人のためのアジア人!人種差別ではありません」という意味である。
現在、EastMeetEastは北米の中でもアクセス数が特に高いアジア人向けデートサイトだ。中国、フィリピン、ベトナム人、韓国人、日本人たちが会員となっており、創業以来成立したカップルは10万人を超えている。
EastMeetEastの機能として特徴的なのが、プロフィールの最初にアメリカに来たときの年齢を書く欄があることだ。アメリカに移住した親から生まれた子供の年齢は0になる。
マイノリティの人種として、その国で生まれ育った人、幼い両親と一緒に移り住んだ人、大学以来そのまま住んでいる人など、アメリカに来た理由は似ている。結婚する相手には親と一緒で母国語を話して欲しいなどのニーズとも同じだ。
マイノリティとして暮らすのはどんなものか、海外で生活した人やマイノリティの人なら分かるだろう。マイノリティにはマイノリティにしか分からない痛みがあるものだ。
EastMeetEastはそんな背景の中でも、アジア系移民というざっくりした枠組みで、若者カルチャーを発信し、アメリカ社会の中でマイノリティとして生きることの肯定感を生んでいる。
スーパーダイバーシティ経営とは
EastMeetEastスーパーダイバーシティのオフィスはニューヨークタイムズスクエアにある。マイノリティを重んじる社風で、さまざまな人種が集まり、LGBTも30%と多い。
社会制裁のリスクを恐れてLGBTQを隠す人も多いが、そうなると内向的になり自分の能力を発揮できない可能性がある。その点、LGBTQを公表し自由に働ける環境は、伸び伸びと仕事に取り組むことができて自分の能力を最大限に発揮できる。
事業も会社も違いを明確にし、ポジティブに受け入れることでエネルギーに変換し、新しいビジネス価値を生み出している。
これこそがEastMeetEast流のスーパーダイバーシティ経営だ。