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『バオバオ フツウの家族』から考えるLGBTの在り方

『バオバオ フツウの家族』は、赤ちゃんが欲しい2組の同性カップルの姿を描いた台湾の映画だ。赤ちゃんが欲しいジョアンとシンディのペアと、チャールズとティムの2組の同性カップルが4人で協力をして妊活をするというあらましだ。

4人で努力した結果、シンディは双子を妊娠するが、シンディの知らないところで他の3人が勝手に協定を結び、それを知ったシンディが台湾へと戻る。台湾に戻ると、シンディに思いを寄せていた警官タイが父親になると言うが、シンディの心は複雑だ。

映画『バオバオ フツウの家族』劇場予告編

同性のカップルが子供を持ちたいという問題に正面から向き合った映画

LGBTQに関連するドラマや映画は増えているが、同性カップルが子供を持ちたいという問題をテーマにした題材は多くない。LGBTQに関連した映画の枠を超え、新たな領域に踏み込んでいる。

主人公が子供を持ちたいと言う気持ちを持ちながら、子供を産むことへの不安、親になることへの覚悟、子供の将来を考えると複雑な心境になるのは当然だ。

同性カップルが直面するであろう問題を見つめつつ、通常のカップルでも起こり得る問題も多く取り上げている。そういった意味では、LGBTQの映画ではあるが、妊活をしているカップルの心にも響くような内容だ。

映画を通して考えること

映画に出てくる4人の目指す家族は、何が親子であり、何が家族であるかをストレートな疑問としてぶつけている。血のつながりだけではない、他の結び付きがある家族があってもいいのではないかと感じさせられるはずだ。

現実では同性婚を認可する国や地域、都市が増えているが、同性婚では子供を授かることはない。人工授精したとしても、どちらかとは子供との血のつながりがなくなる。同性婚が増えていく未来において、現実的な問題として浮上してくる。

台湾はLGBTQに理解がある国だからこそ、当事者たちの心情をリアルに描けるのだろう。来るべきこれからの社会の在り方、LGBTQのあり方について考えると共に、人間同士の理解を深めてくれる作品だ。