東京都内には約11~12万人の就職氷河期世代の非正規雇用や無職の人々に対する支援策として都が2020年度の予算案に計7億円を計上した。正規雇用者や育成に関する企業への助成金支給や、都職員の採用事件などを実施する方向が固まった。
■就職氷河期世代とは
就職氷河期世代とは、日本全体が社会的に就職難になった時代のことだ。一般的に1993年から2005年頃までの時代を言うが、1990年以降のバブル崩壊に伴う不況の長期化によって1993年頃から就職難が社会的に問題化したことが始まりとなっている。
1993年頃からは有効求人倍率が1を割り込んでしまい、就職したくても就職できない時代が約10年にわたって続いた。ちなみに、金融不安やITバブルの崩壊によって雇用環境が悪化した1990年代後半から2000年頃を超氷河期と呼んでいる。
■就職氷河世代の年齢層
就職氷河期世代は、1970年から1982年に生まれた40歳前後の人達を指す。ロストジェネレーション世代とも呼ばれており、バブル崩壊後の失われた20年のうち、特に雇用状況がひどかった就職氷河期に就職活動をした世代だ。
大学を卒業しても正社員として就職する先がなく、公務員試験の倍率も大幅に上がって、希望せずフリーターや派遣社員などの非正規労働者として過ごすことになってしまった人たちだ。
■就職氷河期世代への支援が今の理由
就職氷河期世代を過ごしてきた人の中には、就職できずにアルバイトやパートで生活してきた人も多い。いわゆるフリーターだが、年齢を重ねる中でフリーターの収入が限界に達している人も多く、このような人達が就職できるように支援するのが、今回の就職氷河期世代支援だ。
都は不安定な就労が長期化し、既存の取り組みでは支援が不十分な状態が続いてしまうと判断して助成金を使うことにした。7億円という多額の助成金だが、これをきっかけに就職する人が増えれば、税収入も増えて雇用回復にもつながる。都の取り組みを静観している地方都市も多く、上手くいけば同じような取り組みをする自治体も増えるだろう。