LGBT支援が加速する日本だが、2019年10月に熊本県で避難所におけるLGBTへの配慮を表すガイドラインを制定した。
普段の生活におけるLGBTの相談窓口は熊本にもあるが、被災時や避難時を想定したルールはなかった。
熊本は豪雨、地震、火山など、災害リスクが大きい県として知られている。他のエリアと違って実際に避難所で生活をしたことがある人も多く、そうした経験からLGBTに対する配慮が必要という声が上がった。
具体的な配慮
災害時にLGBTが困ることは、お風呂やトイレの使用などだ。ユニバーサルトイレなどを避難所に1つ設置するだけでも、被災者が受ける精神的なダメージはかなり軽減できる。お風呂の利用に関しても、男性、女性だけでなく、LGBTが利用できる時間帯があれば、それだけで十分だ。
当事者の声が形に
災害時のLGBT支援に対し、「緊急時にそこまで配慮する余裕はない」という声があるのも事実だ。避難を要する状態になっているということは、自身の生命や財産に危機が迫っている状態だ。
「こうした反対意見をどうやって覆すことができたのか?」と、疑問に思う人もいるかもしれないが、当事者が声を上げたことが非常に大きかった。
LGBTに理解のない人は、LGBTの事情を知らない人であり、事情を知ればLGBTに対して配慮する気持ちも生まれる人が多い。避難所にLGBTへの配慮が必要かどうかという点についても、当事者がその必要性を訴えれば、理解してくれる人が多いことも意味している。
各自治体にも広がっている
災害時のLGBT支援は、熊本だけでなく、他の都道府県の自治体でも取り組みの必要性が議論されている。熊本が実際にガイドラインを制定することで、追随する自治体が増えることが想定される。
実現するまでには少し時間がかかりそうだが、こうした話が全国の話題に上ることは非常にポジティブなことだ。さまざまなシーンでLGBTが話題になれば、それだけLGBTに対して興味を持つ人も増える。まずは知ってもらうことが重要なのだ。